ダイヤ改正の根拠になる利用客の減少割合を公表

鉄道各社は終電繰り上げ時刻繰り上げの理由として夜間作業時間の確保を挙げます。京阪もダイヤ改正の発表資料に線路や架線保守の写真を添えて、利用客の理解を促しました(画像:京阪電気鉄道)

後段の話に移る前に、私鉄各社のコロナを受けたダイヤ改正をサンプル的に取り上げます。注目したのは京阪電気鉄道。京阪は2021年9月25日から、京阪線と大津線のダイヤを変更。京阪線平日では、1日当たり運転本数を上下1255本から1066本へと大幅に減らしたのですが、新ダイヤ発表時、時間帯別の利用客数の変化を指数で表しました。

具体的には、2021年の利用客数をコロナ前の2019年と比較。平日終日では29.1%減、時間帯別では朝ラッシュ時間帯(7~8時台)18.6%減、昼間時間帯(10~15時台)41.7%減、夕ラッシュ時間帯(17~20時台)22.8%減、深夜時間帯(24時以降)69.9%減で、昼間と深夜時間帯の落ち込みが大きいことが分かります。そこで京阪は、ダイヤ改正で昼間と深夜の列車を削減しました。

JR九州は県庁所在地駅や主な列車の減少率を公表

同じような取り組みを探してみたら、JR九州が主要駅や列車の利用状況を公表していたことが分かりました。発表は京阪より前の2020年12月。2021年3月のダイヤ改正の発表に際し、コロナの影響を数字で示しました。

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具体的には、2020年11月の利用状況を前年同月と比較。駅は県庁所在地駅の乗降人員ベースで、博多25%減、佐賀34%減、長崎27%減、熊本22%減、大分27%減、鹿児島中央20%減、宮崎15%減。列車は、九州新幹線博多―熊本間35%減、在来線特急「ソニック」(小倉―行橋間)40%減、「かもめ」(鳥栖―肥前山口間)42%減、「にちりん」(大分―幸崎間)34%減などでした。

鉄道利用客は、クレイマーではありません。コロナで社会全体が苦境に立たされる中、リスクを分け合って、ウィズコロナ時代に求められるサービスのあり方を探る事業者の姿勢は、多くの共感を呼ぶはずです。