コロナ禍の鉄道の現在地 時間帯別運賃からローカル線の見直しまで 国交省は「地元に丁寧な説明を」【コラム】
JR西日本はローカル線運営を見直し

後段はJR西日本の話題に移ります。JR西日本の長谷川一明社長は2021年2月の定例会見で、ローカル線の運営について、軽量軌道交通(LRT=一般には次世代型路面電車を表しますが、この場合は軽量気動車を指すと思われます)や、バス転換を視野に見直す考えを表明。同年6~7月には広島、岡山の両県を結ぶJR芸備線のあり方を検討する場の設置を、広島県庄原市、岡山県と同新見市に申し入れました。
初回の会合は2021年8月5日に岡山市内で開かれ、JR西日本は芸備線の岡山県新見市内区間で、1日当たり乗車人数が2~26人(2019年度)にとどまり、理由はコロナだけではありませんが、改善が必要なことを訴えました。JR西日本と沿線自治体の会合では、参加機関がそれぞれ利用促進策を持ち寄り、維持・存続の方策を話し合うことにしています。
「ローカル線の維持に自治体や事業者と力を合わせて取り組む」(赤羽国交相)
ローカル線の維持・存続・再生は、コロナ禍以前からの課題。赤羽一壽国土交通大臣は2021年8月3日の閣議後会見で、この問題に言及しました。
赤羽大臣は、「国土交通省としては、JR西日本に地元自治体に丁寧に説明を尽くすよう、指導してきたところだ」と前置き。その上で、「国としても、JRを含む鉄道事業者の資金繰りを支援してきた。ローカル線の維持・存続・再生に関しては、全国23県の知事から鉄道ネットワークの維持について要望をいただいている。いずれにしても、鉄道事業者が沿線自治体に相談なく廃線にするようなことはないので、その点も含めJR各社に対してしっかり指導したい」と述べています。
コロナと鉄道に関しては、JR西日本が2021年9月1日の取締役会で決定した、新株式発行も同列で語れる中身ですが、紙数か尽きたことから、紹介は次の機会に回させていただきたいと思います。
記事:上里夏生