熊本空港の旅客ターミナル。熊本国際空港は2023年3月、国内線と国内線が一体になった新しいターミナルビルをオープンする予定です(写真:PIXSTAR / PIXTA)

九州でまた一つ、新しい鉄道プロジェクトがスタートします。熊本空港(熊本県益城町)と県都・熊本市を直結する「熊本空港アクセス鉄道」。JR九州と熊本県は2022年11月、空港鉄道計画について、JR豊肥線肥後大津駅から空港に分岐するルートを採用することで合意し、確認書を交わしました。

福岡市のJR九州本社で確認書を交換する古宮洋二JR九州社長(左)と蒲島郁夫熊本県知事(右)。古宮社長は「熊本空港アクセス鉄道を通じて、熊本県や九州全体の地域振興につなげたい」、蒲島知事は「JR九州とは、ウィンウィンの関係を構築したい」とそれぞれ決意を述べました(写真:JR九州)

コロナ前のデータで年間350万人近くが利用していた熊本空港(愛称名・阿蘇くまもと空港)、JR熊本駅発着のリムジンバスは渋滞が発生すると所要1時間超というアクセス面が課題でしたが、定時性、大量輸送性、速達性の3条件を満たす鉄道アクセスは、空港の国際競争力強化につながります。県によると、開業予定は2034年度末。若干の紆余曲折もあった、ルート選定経過などをたどります。

アクセスが課題

熊本市の北東約20キロに位置する熊本空港は、3000メートル滑走路1本。1971年に開港、当初の国内線に続き、1983年に国際線ターミナルビルが供用開始しました。国が進める空港民営化で、2020年には九州電力、九州産業交通ホールディングスなどが出資する熊本国際空港(企業名)に移管されました。

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熊本空港最大の課題がアクセス。今後、2027年度に486万人、2051年度には622万人が利用するとの需要予測(熊本国際空港のマスタープランから)もある中、75万都市・熊本市との確実なアクセス手段が求められました。

「鉄道延伸」を選択

熊本県は2004年度から空港アクセス改善策の検討をはじめましたが、採算性確保が困難とされたことからいったんは計画を凍結。その後、空港周辺を取り巻く環境が変わり、再検討が行われました。①鉄道(JR豊肥線から空港に分岐する新線整備)、②モノレール(熊本市内からの新線整備)、③熊本市電延伸、④BRT(バス高速輸送システム)――を比較検討した結果、定時性などの条件を満たし、事業費(建設費)を抑えられる点を主な理由に、「鉄道延伸」を選択しました。

ここまで比較的すんなり決まったのですが、問題はルート。熊本空港は熊本―大分間のJR豊肥線沿線にあり、空港新線の分岐駅は熊本側から三里木、原水(いずれも菊陽町)、肥後大津(大津町)の3駅が考えられます。