ダイヤと車両、積み込み・積み卸し施設の検討が必要

国交省の検討会では、貨物新幹線が検討課題として提起されました。2022年に公表された「これまでの主な指摘事項」では、貨物新幹線の実現に向けた課題が次の2点に集約されました。

①新幹線を利用した貨客混載輸送が開始されているが、現状は旅客利用を想定したダイヤや車両、駅構造で、積み込み・積み卸しの効率化や施設の確保が求められる。

②新幹線で大容量貨物を輸送する場合、車両開発とともにダイヤ、乗り入れ区間(貨物新幹線の運行区間)、安全確保方策などの検討が必要になる。

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お気付きになった方も多いと思いますが、以上の2点は前段で紹介した犬飼JR貨物社長が挙げた課題と一致します。

「物流の生産性向上や環境負荷低減に貢献、旅客各社の協力を得て検討」(JR貨物)

さらに、時計を巻き戻します。取り上げるのは、JR貨物が2021年1月に発表した「JR貨物グループ長期ビジョン2030」。中長期の経営計画で、資料3ページ目に「JR貨物グループが2030年に目指す姿」の実効策として、「鉄道インフラ(在来線・新幹線)の有効活用」が明記されています。

JR貨物が貨物新幹線の推進方針を打ち出した「JR貨物グループ長期ビジョン2030」。「総合物流事業の推進」と「不動産事業の更なる発展」を事業運営の2本柱とします(資料:JR貨物)

資料はカッコ書きだったため、気付いた方は多くなかったのですが(実は私も今回、初めて知りました)、「新幹線の有効活用」というのは貨物新幹線を意識した表現です。

真貝康一社長(当時。現在はJR貨物代表取締役会長)は、長期ビジョンの発表会見やインタビューで、「都市間を結ぶ新幹線を人流・物流で共用できれば、物流の生産性向上や環境負荷低減に貢献できる。ニーズなどを調査しながら、旅客各社の協力を得て検討していく考えだ」の方針を示しています。