2023年9月23日、北陸新幹線 芦原温泉駅(福井県あわら市)の12番ホームに「East-i」が初入線。来年3月16日の北陸新幹線「金沢~敦賀間」延伸開業に向けて、ついに新幹線車両を使用した走行試験が始まりました。

「East-i」はE3系をベースにJR東日本が開発した新幹線電気・軌道総合検測車です。新幹線が安全に走行するために、通信や電力、信号、軌道などの検測や検査を行う車両で、鉄道ファンの間では「JR東日本版ドクターイエロー」と呼ばれることも。普段は東北・上越・北陸・北海道・秋田・山形新幹線の区間で定期的に検査走行を行っています。

本日は鉄道・運輸機構(JRTT)の職員とJR西日本の社員があわせて60名ほど乗車しており、駅構内を30km/h、駅間を45km/hで走行しながら延伸区間の入線・架線試験を実施。

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芦原温泉駅では初入線歓迎式典も行われ、知事や沿線の首長らが特製のうちわを振って「East-i」をお出迎え。くす玉割りやフォトセッションののち、去り行く「East-i」をお見送りしました。

式典後、杉本達治福井県知事は報道陣の取材に対し、次のように答えています。

「1973年に北陸新幹線の整備計画が決定されてちょうど半世紀、50年に節目の年に福井県に初めて北陸新幹線が入ってきた。これまで長い間努力をしていただいた先人の皆さんのおかげ、本当に感無量の思いです」

「これから半年間、走行試験や訓練をしっかり繰り返していただいて、安全に開業の日を迎えられるよう祈ります。私どもとしては半年間プロモーションやおもてなし、二次交通の整備、こういったことの準備も加速していく。そうすることで開業の日にはたくさんのお客さんに来ていただいて、その後もどんどん盛り上げていく。福井県内をさらに飛躍させて、結果として1日でも早い大阪への全線開通に結び付けていきたい」

「East-i」の動き・W7系はいつから走る?

2023年9月23日1時56分頃に白山総合車両所を出発した「East-i」は、金沢(2時09分着)、小松(4時37分着)、加賀温泉(7時28分着)を経て、9時50分頃に芦原温泉駅に入線しました。

式典後、「East-i」は10時15分頃に同駅を出発し敦賀車両基地へ。24日は敦賀車両基地にとどまり点検、25日に敦賀車両基地を出発し、26日早朝に白山総合車両所へ到着する見込みです。

26日からは「W7系」を使用し、ホーム測定試験、ATC現示試験、列車無線試験、速度向上試験などをトータルで40日ほど実施します(260km/hでの試験は11月下旬)。W7系での試験を一通り終えたのち、全線のレールの状況を確認するため、12月に再び「East-i」で走行試験を行う予定です。

記事:一橋正浩

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