北の大地を走る北海道新幹線。札幌に姿を現すのはいつになるか

2022年後半から一部で懸念が示されていた北海道新幹線の工事遅延が、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)から正式に表明された。JRTTの藤田耕三理事長は2024年5月8日、斉藤鉄夫国土交通大臣に面会して「2030年度末に予定されていた、北海道新幹線新函館北斗~札幌間(212キロ)の開業は困難。開業時期は未定で、数年単位で予定より遅れる」の見通しを報告した。

国土交通省は今後、「北海道新幹線の整備に関する有識者会議」などの場での議論を通じて、新しい開業時期を精査する。

JRTTは斉藤大臣への報告にあわせて、遅延の理由を明らかにした。複数トンネルで発生土の受け入れ地確保が難航するほか、一部のトンネルでは巨大な岩塊が出現、想定を上回る地質不良などもあって、現時点で予定に比べ3~4年程度、工程が遅れている。

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さらに、一部区間では地質不良が継続。2024年4月からの建設業の働き方改革(時間外労働の上限規制)で、人材確保が難しくなっていることも理由の一つとした。

JRTTは「今後、さまざまな工程短縮策を講じたとしても、遅れを全て取り戻すことは困難」と総括する。

報告を受けた斉藤大臣は、「国交省としては全体工程をあらためて精査、開業目標を検討するので、JRTTもしっかり対応してほしい」、「JRTTは工程短縮に取り組み、一日も早い完成・開業を目指すこと」、「地元自治体などに向け丁寧な説明を行うこと」の3点を要請した。

北海道では、道央から道南にかけての各地で新幹線延伸を視野に入れた街づくりが進行中。工事遅延の影響が今後、広がると考えられる。

北海道の鈴木直道知事は、「地元関係者にとっては非常に遺憾な事態。JRTTには地元関係者に向け丁寧に説明を求めたい。道としては引き続き、一日も早い完成・開業を求めていく」。札幌市の秋元克広市長も、「開業が遅れることになれば、街づくりや民間投資への影響は広範で甚大になる。札幌市としては、工程の遅れとは別に再開発を進めていく」とそれぞれコメントした。

また、本サイトでも先日紹介した北海道新幹線の函館駅乗り入れについて、函館市は完成(実現)時期を札幌延伸開業と同時としており、同市の対応も注目される。

記事:上里夏生