西武鉄道【乗降人員ランキング】1位は池袋駅であの駅は何位に? 西武球場前や所沢が急増し「エミテラス所沢」効果が鮮明に(2024年度版)

西武鉄道が2024年度の「駅別1日平均乗降人員」を発表しています。西武鉄道は、多摩エリアや埼玉県へ広がる大規模な路線網を持ち、首都圏の通勤・通学輸送から、秩父方面への観光輸送、ベルーナドームへのイベント輸送まで、多様な顔を持っています。今回は、西武鉄道が公表した2024年度の駅別1日平均乗降人員を基に、沿線の利用状況や主要駅のランキングを紹介するとともに、「S-TRAIN」や「拝島ライナー」といった通勤ライナーが与える影響、所沢駅の再開発効果、各路線の特徴をデータから読み解きます。
池袋線と新宿線が、都心部と東京北西部・埼玉を結ぶ西武鉄道
西武鉄道は、東京都・埼玉県に12路線の鉄道網を運営しています。池袋線を軸に広がる路線網に加えて、東急東横線や目黒線方面へとつながる地下鉄直通ルートを活用し、広いエリアを結ぶネットワークを形成しています。
池袋や新宿といった都心はもちろん、横浜方面へもアクセスできる利便性が特徴です。副都心線・有楽町線を経由した東急線方面の直通運転は、通勤や通学だけでなく、観光やイベントへの移動にも力を発揮し、西武沿線の選択肢をさらに広げています。

今回は、2024年度(2024年4月~2025年3月)の、西武鉄道の駅別乗降人員(1日平均)のデータをご紹介しましょう。
ベスト3には、都心方面との接続駅がランクイン
西武鉄道の駅で、最も乗降人員が多かったのは、西武池袋線の「池袋」で、1日平均の乗降人員が42万8121人です。
JR線や地下鉄、副都心線など多くの路線が乗り入れ、埼玉・多摩方面から都心へ向かう玄関口となっています。駅直結の西武池袋本店は、地域を代表する商業拠点として長年にわたり集客を支えてきた存在で、現在はリニューアルに向けた動きも進んでいます。

2位は高田馬場で27万4114人、3位は西武新宿で14万7390人でした。
西武新宿線とJR山手線や東京メトロ東西線との乗り換えができる「高田馬場」は、沿線でも特に利用が多い結節点で、新宿エリアへ直結する西武新宿も通勤・通学を中心に安定した利用があります。「西武新宿」は日本でも屈指の利用者数を誇る、JR新宿駅や、京王・小田急・東京メトロ・都営地下鉄など私鉄各駅と、徒歩で移動ができる場所に位置しています。どちらも都心方面へのアクセスを担う拠点として、日々多くの乗降客を受け入れています。
西武線全体のベスト10とワースト5を発表!注目の駅は?
【全体ベスト10(駅別1日平均乗降人員)】
1位 池袋(池袋線) 428,121人
2位 高田馬場(新宿線) 274,114人
3位 西武新宿(新宿線) 147,390人
4位 小竹向原(西武有楽町線) 138,056人
5位 練馬(池袋線) 121,493人
6位 国分寺(国分寺線) 111,199人
7位 所沢(池袋線) 109,930人
8位 大泉学園(池袋線) 80,236人
9位 石神井公園(池袋線) 76,732人
10位 秋津(池袋線) 76,596人
【全線ワースト5】
1位 正丸(西武秩父線) 164人
2位 西吾野(西武秩父線) 233人
3位 武蔵横手(池袋線) 241人
4位 芦ヶ久保(西武秩父線) 372人
5位 東吾野(池袋線) 477人

全体ベスト3位は都心との接続駅が並ぶ一方、乗降人員が少ない駅としては、西武秩父線の正丸や西吾野、芦ヶ久保、池袋線の武蔵横手や東吾野といった山あいの駅が並びました。
池袋線では、池袋に次いで所沢や大泉学園、石神井公園が上位に入りました。中でも7位の所沢は池袋線と新宿線が交わる拠点で、西武グループの本社機能も集まっています。駅周辺では「エミテラス所沢」が2024年9月に開業しました。約4万3000平方メートルの商業フロアに、142店舗が入る大型施設として整備され、新たな人の流れが生まれています。
西武有楽町線の小竹向原は、有楽町線・副都心線と接続することで、渋谷・横浜方面への直通ルートの起点になっており、都心部の地下鉄ネットワークと結びつくことで通勤ルートの幅を大きく広げています。沿線の中でも乗り換え利便性の高い駅として発展を続けており、池袋線の利用動向にも影響を与えています。
座席指定車「S-TRAIN」「拝島ライナー」
また、西武鉄道では通勤ニーズに応える座席指定列車も充実しています。
池袋線・西武秩父線では座席指定制の「S-TRAIN」が運行され、都心方面への確実な着席ニーズを取り込みながら、秩父エリアとのアクセス向上に寄与しています。新宿線では「拝島ライナー」が導入され、夕方以降の都心発・西武新宿―拝島間で通勤客の着席需要を支えています。こうした通勤ライナーの整備は、郊外に居住していても東京都心への快適なアクセスが実現されるため、沿線利用者の居住範囲を広げている点が特徴です。

拝島線・狭山線・多摩湖線・西武秩父線などの動向
拝島線では、拝島、玉川上水、東大和市などが主要駅となっています。拝島はJR青梅線や五日市線と接続する乗り換え拠点で、東京西部と多摩方面を結ぶ重要な位置づけにあります。
狭山線と山口線は、西武球場前(ベルーナドーム)や西武園ゆうえんちへのアクセス路線として位置付けられています。プロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地であるベルーナドームは、近年リニューアルが進み、飲食店の拡充などの整備が行われてきました。

多摩湖線や多摩川線は、区間こそ短いものの、沿線の住宅地や学校・公共施設へのアクセスを担っています。多摩湖線の国分寺や小平、多摩川線の武蔵境など、他社線と接続する駅が起点となり、周辺地域の生活動線をきめ細かく支えています。
西武秩父線は、飯能から山あいの秩父方面へと延びる路線で、西武秩父、横瀬、芦ヶ久保などはハイキングや観光の拠点として知られています。週末や行楽シーズンには利用が大きく伸びる傾向があり、沿線の観光需要を支える路線です。座席指定制特急「ラビュー」「ちちぶ」「むさし」が運行されており、都心と秩父エリアを結ぶアクセス向上に大きく寄与しています。特に「ラビュー」は大型窓と明るい車内空間が特徴で、観光列車としての人気も高く、秩父観光の玄関口としての役割を強めています。

乗降人員増加駅から見るイベント・観光の「回復と成長」
西武鉄道全体での、増加率ベスト駅が西武球場前で、前年と比べて+21.3%という驚異的な伸び率いなりました。
埼玉西武ライオンズの本拠地「ベルーナドーム」の最寄り駅であることから、コロナ禍で落ち込んでいたプロ野球の観戦や大規模コンサートといったイベント需要が2024年度にかけて完全復活したことを明確に示しています。
また、全体2位は芦ヶ久保駅(+15.9%)であることから、特急「ラビュー」の運行による都心からのアクセス向上も追い風となり、コロナ禍明けのアウトドア・レジャー需要が本格的に回復した結果と考えられます。
いずれも、順調なイベント・観光への人々の関心が高まりを示しています。
【関連リンク】