地元が求めた深川―石狩沼田間部分存続は費用負担で断念

沿線4市町は2018年から、「JR留萌本線沿線自治体会議」を協議の場として開設。4市町のうち留萌市は「廃止もやむを得ない」でしたが、他の3市町は深川―石狩沼田間の部分存続を要望しました。

しかし、JR北海道が少なくとも年額で約3億4500万円の費用負担を要請したため、自治体側は断念せざるを得ませんでした。最終的に地元は、JR北海道の2022年7月21日の提案を受け入れる形で、2段階廃止で合意しました。

JR北海道の提案内容。部分運行は3年間の期間限定で、地元はこの間に地域交通体系を再構築します(資料:留萌市の地元向け説明会資料)

8月30日に決まった2段階廃止以外の主な合意事項は、次の3項目です。

1、深川―石狩沼田間の部分運行期間中の運行費用と、石狩沼田への折返設備設置費用はJR北海道が全額負担する
2、代替交通手段の運行経費は鉄道廃止日から最大18年間JR北海道が支援する
3、JR北海道のまちづくり支援は、最近の事例にならい1自治体あたり約7000万円とする

「苦渋の決断を重く受け止める」(綿貫JR北海道社長)

発表された会見などの記録から、関係者のコメントを集めました。

JR北海道の綿貫泰之社長は、合意を受けた会見で、「沿線自治体の皆さんが苦渋の決断をしていただいたことを重く受け止めたい。地域の持続可能な交通体系構築とあわせて、魅力ある街づくりや地域の資源を生かした観光振興について、地域とともに取り組んでいく」と、地元の理解に謝意を示しました。

斉藤鉄夫国土交通大臣は、2022年9月2日の会見で留萌線の廃線合意に言及。「国土交通省としては、JR北海道の経営自立に向けて、2021年3月に成立した改正債務等処理法(通称)に基づき、2023年度までの3年間に約1300億円の支援を行う。代替交通手段の確保については、地域の声も聞きながら、持続的で利便性の高いものとなるよう、JR北海道を指導しつつ、道庁と連携して必要な協力を行う」と関係機関の努力を評価しました。

北海道の鈴木直道知事は、2022年8月31日の会見で、「沿線自治体の皆さんの重い判断を、深く受け止めている。道としても、地元自治体や交通事業者により一層寄り添いながら、利便性の高い持続的な地域交通の確保に向けまして取り組んでいく」としました。

沿線自治体からは、「社会情勢を考えれば、今が決断の時」(中西俊司留萌市長)などの発言がありました。