愛される「ガチャコン電車」 滋賀の老舗私鉄・近江鉄道 「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会in滋賀」から【コラム】

2021.07.24

戦時中には西武グループに

近江鉄道の路線図。沿線は西側に琵琶湖、東側に山が連なり、歴史ある社寺も点在します

まずは、近江鉄道のプロフィール。路線は本線(米原―貴生川47.7キロ)、多賀線(高宮―多賀大社前2.5キロ、八日市線(八日市―近江八幡9.3キロ)の3線で、米原、彦根、近江八幡の各駅でJR東海道線、貴生川でJR草津線と、第三セクターの信楽高原鐵道に接続します(米原では東海道新幹線とJR北陸線にも)。

鉄道建設の理由は、江州米をはじめとする沿線産品の輸送、湖東地域と伊賀方面を結ぶ移動手段として。戦時中の1943年、箱根土地開発(現・プリンスホテル)の傘下に入ったことから、現在まで西武グループの一員。近江鉄道の車両は西武鉄道からの譲受車です。

3年後には経営の上下分離

地元で鉄道再生や利用促進の旗を振る山本さんの発表から、近江鉄道の近況を報告します。地元の人たちの愛称は「ガチャコン」。走る電車の音から生まれたそうですが、何とも味わいある呼び名です。沿線は彦根、近江八幡、東近江の各市など5市5町にまたがり、年間利用客は370万人ほど。数字は2020年度実績で、コロナの影響もあって2019年度に比べ22%も減少しました。

地方鉄道の例に漏れず経営環境は厳しく、赤字が常態化。こうした状況に危機感を持った沿線自治体は2019年11月、「近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会」を設置。鉄道事業者(近江鉄道)と行政、有識者、利用者代表が一堂に会する協議会は、地域公共交通活性化・再生法(通称)に基づく法定組織で、2021年6月までに7回の会合が開催され、①近江鉄道線の全線存続と、②2024年度に上下分離経営への移行――が決まりました。

本社から現場まで近江鉄道の全社員がメンバーの「近江鉄道みらいファクトリー」

鉄道の上下分離は、鉄道を上物の列車運行と、線路や駅舎などの施設に分け、施設は自治体が保有、近江鉄道は運行に専念します。事業者は利用客数などに応じて線路使用料を支払えばいいので、負担は軽減されます。

地方鉄道では、同じ滋賀県の信楽高原鐵道、三セクの三陸鉄道などが採用。実は整備新幹線の北陸新幹線や北海道新幹線もこの方式で、JRは受益の範囲内で線路使用料を支払えばいいのです。近江鉄道の山田和昭構造改革推進部部長によると、上下分離の詳細についてはこれから法定協議会で議論されていくとの事です。

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